美食学研究報告

日本料理の次世代への継承と、更なる発展。日本料理を未来に繋ぐ。

調理の技法

【調理の技法 第5回】 「炊く(焚く)」その2

前回の記事の続きになります。 「炊く」とは最も重要な調理の技法 「炊く」という調理方法は、日本料理の中でも最も重要な調理方法でないかと思います。「焚き合わせ」はもちろんですが、広義で考えれば、出汁を引くことも、ほうれん草のお浸し、鴨ロース、…

【調理の技法 第5回】「炊く(焚く)」その1

「炊く」とは加熱と味付けを同時行う 「炊く」とは加熱と味付けを同時に行う調理方法です。これが一番のポイントです。 今まで書いてきた「切る」「蒸す」「揚げる」「焼く」は味付けとは関係ありませんでした。「塩焼き」とか「タレ焼き」なんかはあります…

【調理の技法 第4回】 「焼く」

「焼く」という加熱方法は、最も原始的な調理でないかと思います。しかし、単純で原始的なことこそ、難しいのです。理由は「だし」の項でも書いた通りです。参考記事:【「だし」について】 基本編 その1 - ガストロノミー.work 色々な場面での「焼く」 日本…

【調理の技法 第3回】 「揚げる」その3

「揚げる」の3回目です。 素材の下処理について それぞれの食材によって方法が違うので、一概にいうことは出来ませんが、基本は「切れ目を入れて油の通りを良くする」「水分をある程度切っておく」「空気の抜け穴を開ける」などでしょうか。 私の友人で以前…

【調理の技法 第3回】 「揚げる」その2

前回の続きです。 なぜ揚げ物は難しいのか 前回の記事では「揚げる」ことは「蒸す」ことに似ていると書きました。 単に油で揚げるだけの料理なので、蒸すことと同じように、温度と時間の管理さえ出来れば揚げ物は出来るようになるはずです。しかし、やってみ…

【調理の技法 第3回】「揚げる」 その1

蒸すことと揚げることは似ている 揚げることは蒸すことに似てるのではないかと思っています。蒸す場合は蒸気、揚げる場合は油という違いはありますが、均一の温度の熱エネルギーで素材を加熱するという点では同じだからです。参考記事 蒸すことと揚げること…

【調理の技法 第2回】 「蒸す」 その2

前回の記事の続きです。 前回も少し触れましたが、蒸すことによって味は入りません。つまり、味付けと加熱を別々に考える必要があります。蒸す前や蒸した後に塩を振ったり、味付けした出汁に浸しながら蒸したり、蒸し上がった後に「あんかけ」にしたり、別添…

【調理の技法 第2回】 「蒸す」その1

私の知る範囲だけの話かもしれませんが、献立の中に「蒸し物」を常に入れているという店は少ないように思います。献立を立ててみて、何か少し物足りないと感じたら「蒸し物」を一品入れてみたり、秋口の松茸の季節になると椀物の代わりに土瓶蒸しを入れてみ…

【調理の技法 第1回】「切る」 その2

今回は切るということが最も重要な要素になる「お造り・刺身」を「切る」ということについて書いています。 前回の記事をお読みでない方は、まずはそちらからご覧ください。 その前に、「造り」と「刺身」の違いについては別記事で書きましたので、そちらを…

【調理の技法 第1回】「切る」 その1

今回から数回にわけて日本料理の調理の技法について書いていきたいと思います。調理の技法と言えば、「焼く」とか「揚げる」とか「炊く(焚く)」などが最初に連想されると思います。第1回の今回は、その中でも少し盲点になりがちな「切る」ことに焦点を当て…