美食学研究報告

日本料理の次世代への継承と、更なる発展。日本料理を未来に繋ぐ。

【調理の技法 第3回】「揚げる」 その1

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蒸すことと揚げることは似ている

揚げることは蒸すことに似てるのではないかと思っています。蒸す場合は蒸気、揚げる場合は油という違いはありますが、均一の温度の熱エネルギーで素材を加熱するという点では同じだからです。

参考記事

蒸すことと揚げることの注意点も、ほぼ同じです。つまり、どうやって味を補うのかと、中心部の温度管理です。


「揚げる」ことは純粋な加熱方法です。つまり、揚げることで味はつきません。「蒸す」ときと同じように加熱と味付けを別で考えなければなりません。

揚げ物の味付けは大体3種類ぐらいあるのではないかと思います。つまり、

  1. 素材そのものに直接味付けする
  2. 衣に味付けする
  3. 天だしや振り塩等で味を補う

この辺りではないかと思います。

次に、揚げるときの方法も大体3種類ぐらいです。つまり、
a.【素揚げ】直接、油で揚げる
b.【唐揚げ】粉をまぶして揚げる
c.【衣揚げ】衣をつけて揚げる

揚げ物という料理を分解してみると、これら、1.2.3.及び、a.b.c.の組み合わせになっていると思います。

表面と芯の温度管理を別々に考える

芯の温度に関しては「蒸す」の記事でも書いたように、冷蔵庫から出してすぐに揚げるのか、常温に戻してから揚げるのかで仕上がりが左右されます。

仕上がりの表面の状態芯の状態、それぞれの理想の状態を別々に考えるのが上達のポイントではないかと思います。単に「エビの天ぷらを揚げる」と思っている人と「外側はサクサクで中はプリっとしたエビの天ぷらを揚げる」と思っている人と、出来上がりの料理は全く同じでも、新しい仕事をさせたときにどちらの人が応用問題が解けるのか、わかってもらえると思います。

油で揚げる場合、大体180℃前後の温度帯で加熱されます。加熱というのは素材の細胞組織を破壊することです。まずは固まり、それから色づき、最後には焦げていきます。揚げ物の表面は直接油の温度にさらされますが、中心部に熱が通るまでは時間差があります。
外側と内側が共にベストの状態にする。この調整が揚げ物の技法です。

出来上がりの料理の姿をイメージしよう

中までしっかりと火を通すのか、外はカリカリで中は生なのか、外はふんわり色づき始めた程度なのか、それさえわかっていれば適切な揚げ方が出来るようになると思います。アイスクリームの天ぷらなども原理が理解できれば揚げれるようになると思います。

その2に続きます。


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「てんぷら近藤」主人のやさしく教える天ぷらのきほん (おうちで作れる専門店の味)

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