美食学研究報告

日本料理の次世代への継承と、更なる発展。日本料理を未来に繋ぐ。

【調理の技法 第3回】 「揚げる」その2

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前回の続きです。

なぜ揚げ物は難しいのか

前回の記事では「揚げる」ことは「蒸す」ことに似ていると書きました。
単に油で揚げるだけの料理なので、蒸すことと同じように、温度時間の管理さえ出来れば揚げ物は出来るようになるはずです。しかし、やってみて思うのですが、非常に難しい。原因は主に3つではないかと思います。

  1. 油の管理が難しい
  2. 素材の下処理を知らない
  3. 衣の特徴を把握していない

つまり、これさえ出来れば揚げ物は出来るようになるということです。

油の管理について

まずは1番の油の管理から考えていきましょう。
油の管理とは油の温度管理油の鮮度管理の2種類あります。
まずは温度から。フライヤーのあるお店の場合は、フライヤーの設定温度の変更、これで終わりです。機械に全て委ねましょう。

温度計が無い厨房

問題なのはフライヤーを使っていないお店の場合です。大体の日本料理の厨房には油の温度を測れる温度計が無いという店のほうが多いのでは無いかと思います。

油温の見方は色々あります。乾いた木製の箸を入れて出てくる泡で見定める、少しの水を入れて跳ね具合で見定める、などがあります。私の個人的な意見では、小麦粉の沈み具合で見定めるのが、安全かつ手軽で良いのでは無いかと思います。大体、鍋底まで落ちていくと150℃〜160℃。真ん中ぐらいまで落ちると170℃。上から3分の1ぐらいで180℃。ほとんど沈まず、すぐにジュン!っと上がってくると190℃〜200℃ぐらいです。

新鮮な魚介や野菜の天ぷらだと170℃から180℃ぐらい。手早く揚げるのが基本です。少し大きめの鶏の唐揚げや冷凍食品なんかになると、表面と中心部の加熱の程度の差が少なくなるように、じっくりと火を通したいので、低めの150℃〜160℃で加熱していきます。ガーリックチップなどを揚げるときも、低温でじっくりと素材の水分を出していくようなイメージで揚げます。
油の温度管理は料理そのものを決定する要素になります。


油温のキープ

適切な温度調整が出来ても、油の中に素材を投入したら、熱を奪って温度が下がります。この揚げ始めてからの油温のキープが揚げ物を難しくしている最大の要因で無いかと思います。

よく言われるコツは

  • 大きめの鍋にたっぷり油を入れて
  • 材料は油面の半分ぐらいまで

ということですが、忙しいときはそんな事言ってらんねえよ、この野郎ってな感じになると思います。大切なのは油温のキープです。そのイメージをしっかりと持って、揚げ物をしてください。何度も繰り返すことで感覚を掴んでくると思います。

油の鮮度

油は使えば使うほど酸化します。酸化した油はきれいに揚がりにくく、また身体にも良くないので、一定のレベルを越えたら廃油にしましょう。ニオイを嗅ぐか、光にかざして黒く変色していたら、そろそろ替えどきです。
まだ替えるレベルまで達してない使用済の油は、光や空気に出来るだけ触れないように保存しておきましょう。

その3に続きます


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