美食学研究報告

日本料理の次世代への継承と、更なる発展。日本料理を未来に繋ぐ。

物凄いスピードで変化していく時代に、日本料理の世界はどうするべきか

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柔道と相撲

柔道と相撲はどちらも日本で生まれた伝統的な格闘技であり、スポーツです。しかし、現代社会では全く違う状況下に置かれています。

柔道は世界でも人気のスポーツで、オリンピックの種目になっており、世界中で本気で金メダルを目指す人が沢山います。そのために日本の柔道会は多大な努力と妥協をしてきました。外国に指導者を派遣したり、いくつかの日本の伝統的なルールを捨てて、国際ルールを定めたりしています。青い柔道着や日本人以外が金メダルを取ることも、もはや当たり前になっています。

相撲は逆で鎖国してあらゆる変化を拒み、伝統を守っています。外国人選手は受け入れるけど、日本の文化を理解することが前提で、外国人が横綱になったときの口上なども全て日本語です。土俵は女人禁制で、女性の知事が知事賞を直接渡せないことや、大きな実績を残した白鵬関が外国籍のままでは現役引退後に親方になれないので帰化するかどうかといった問題などがニュースなりました。海外で普及のための巡業はするけど、公式戦は日本でしかやりません。これも一つの方法だと思います。

我々は変革期に生きている

さて、ここ数年、日本料理を巡る環境は大きな変化を迎えています。ミシュランの日本上陸や、「和食」がユネスコ無形文化遺産になったことを受けて、ある京都の日本料理の重鎮の方が「カレーライスやラーメンも日本で独自の進化をしたものは全部和食や」「世界に向けて和食を発信しよう」といった発言や、ホリエモンさんの寿司屋の修行不要論に対する賛否が業界内部だけでなく、テレビやインターネットで色んな方が議論されております。
これは日本料理が柔道的な方向を目指すのか、相撲的な方向を目指すのか、あるいは別の第三の道(例えば、「変化や妥協をしなくても国際的に受け入れられる方法」とか、「そもそも日本料理ってジャンルで括る意味無くねー?」とか)を目指すのかということです。
どれを目指してもいいけど、将来的にはいずれ、どれかを選ばなければいなくなります。料理の世界はスポーツとは違い、勝ち負けや正解不正解のあるものではありません。自分の頭で考え、どういう方向を目指すのか、自分に何が出来るのかを見極めなければいけません。これは「自社のコンセプトを決めよう」とか、そういうくだらない経営コンサルタントみたいなことを言っているのではありません。日本の歴史でいうところの黒船来航的な、そういう転換点を迎えているのではないでしょうか。

未来に先回りする思考法

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