美食学研究報告

日本料理の次世代への継承と、更なる発展。日本料理を未来に繋ぐ。

「先付」について その3【オススメの料理の本など】

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「先付」についての考察の3回目です。
1回目、2回目を読まれてない方はそちらからお願いします。


「先付」でお客様の特徴を把握する

先付というのいうのは、お客様に取ってお店の第一印象であると述べました。
しかし、同時にお店にとってもお客様の第一印象になるものです。
お客様の年齢、体格、ご来店の目的、召し上がるスピードはどうなのか、お酒を飲まれるスピードはどうか、こういう情報は、最初の一皿でだいたい把握できます。
例えば、お酒。1杯目からビールをグイっと飲まれるような方は、2杯目から「お茶でいいです。」とはあまりならない。やはり量を飲まれる方が多いです。
一皿目を食べるスピードが早い方は、全体的に召し上がる量も多い傾向にあります。
そういう情報は、事前の予約では中々わかりません。最初の一皿、二皿で把握して、もしも余裕があるならば、もちろん予算の範囲はありますが、後のコースを変更したり、そういう工夫が出来るでしょう。

宴会の「先付」とは

気をつけたいのが大人数の宴会の席です。
宴会の開始前に会議があったり、始まってからも出席者の方は挨拶をしたり、名刺を配ったり、お酌をしたり、何かと忙しいものです。
宴会の最初の頃というのは、お店のサービススタッフも何かとバタバタするものです。こっちの席のビールが足りてない、手荷物の預かり、靴札はこちらで、1人遅れて到着は〇〇分後で、……。
経験の豊富なベテランのサービスの方でも、宴会の席というのは大変です。
こういう場合は前菜のボリュームを増やして、時間を稼ぐ、という視点が大事になってくるでしょう。
もしも、すぐに食べ終わるようなものだと、上座は料理を食べ終わってるのに、下座にはまだ配り終わってないということも想定されます。
こういう場合、やはり上座の方に合わせないといけませんので、もう調理場もサービスも大混乱になります。
開始前に料理を配膳しておくという場合には、どうしても作り置き感が出てしまいますので、そのマイナスに負けないような華のある料理を、というのも一つの方法でしょう。
宴会というのは、どうしても料理の注目度は低くなりがちです。それをいかに引き付けるか、という勝負でもあります。
色々なことを総合して献立というものは決めなければなりません。

先付を考えるときにオススメの本

ここで私のオススメの書籍の紹介をしたいと思います。


『お通し 前菜 便利集』(田中博敏 柴田書店)

こちらの本は、季節ごと、食材ごとに約500種の前菜、酒肴が写真付きで載ってます。

ちょっと目次はこんな感じ。

基本の調味料も梅肉だけで三種類という、力の入りよう。

先付・前菜だけでなく、八寸のネタなんかにも使えます。
約500種類の料理が載っているのですが、器は全て違うというところに並々ならぬこだわりを感じます。笑
330ページの本で、ほとんどがカラーページなので少々お値段はしますが、読んでみるとお得な印象ですね。


amazonでの購入はこちらからどうぞ。

お通し前菜便利集

お通し前菜便利集