美食学研究報告

日本料理の次世代への継承と、更なる発展。日本料理を未来に繋ぐ。

「賄い(まかない)」から学ぶこと

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「賄い(まかない)」とは

既にご存知の方も多いですが、賄い(まかない)とは、従業員のための食事のことです。昼夜の営業と片付けが終わって、夜の営業までの間の時間や、職場から帰る直前に食べることが多いです。
お店によって色々なルールがあると思いますが、基本的にはヘタと呼ばれる野菜や魚の皮や切れ端に、買ってきた肉類などをプラスして作ることが多いです。使える金額なんかも決められていることが多く、ある程度の創意工夫が必要です。

百貨店の惣菜コーナーや、テレビ番組なんかで「まかない」を謳った商品がありますが、100%ウソですので気をつけてください。
緻密な計算に基づいて商品化されたものです。
本当の賄いは決してお金を取れるようなものではありません。

賄いは決して美味しいものとは限らない。

料理の仕事をしていない人に言うと驚かれる事が多いですが、賄いというのは、常に美味しいものを毎日のように食べているというわけではありません。
(もちろん美味しいものを食べれるときも多いです。)

基本的には若手の人が作るので、絶品ばかりといかないのも仕方ないことだと思います。
私も3年目ぐらいで、やっと先輩方に褒めていただけるようになったのですが、1年目2年目の頃は毎日ボロクソに言われていました。笑
料理人の中には、そんな苦い思い出のある方もいるのではないでしょうか。

しかし、賄いというのは本当に多くの事を学ぶチャンスです。お金を取る料理では無いので、失敗しても次の機会に生かすことが出来ます。
「どうせ賄いだろ」という姿勢で適当に流す人も中にはいますが、勿体無いことだと思います。

賄い仕事は多くの事を学ぶチャンス

賄いは先輩方に自分の作ったものを食べてもらう絶好の機会です。ここで「マズイ」とか、「まあまあやな」とか色々な反応が貰えると思います。中には「もっとこうしたら良いよ」というアドバイスを貰えることもあります。こういう優しい先輩のアドバイスは、賄いだけに限らず、料理の全般に言えることだったりするので要注目です。

また、賄いを作ることで調理器具の使い方に慣れたり、賄いであっても料理の間合いやリズム、タイミング、火入れの加減なんかは本質に通じるものがあります。もしも、環境が許されるのであれば、賄いの白ご飯を土鍋で炊いてみたり、天ぷらを揚げてみたりして先輩方のアドバイスを受ければ、将来的にお客様の料理を作るポジションになっても生かすことが出来ます。
また、賄いには材料や予算が決められていたり、限られた時間で大人数の食事を用意しなければいけなかったり、色々な制約が多いです。賄いの参考にと思って、「簡単に作れるおかず」みたいな本を買ってみたものの、自分の環境では作れるレシピがほとんど無いという事もあります。工夫する人なら、近所の豆腐屋さんから廃棄するような"おから"を貰って来たり、休みの日に食べに行った定食屋さんに積極的にレシピを聞いたりする人もいます。
毎日の事なので大変なことではあるのですが、毎日同じようなものだと「またかよ!」と怒号が飛んでくるので必死です。
やはり一緒懸命に努力して成長する若手の人は、お店の料理の仕事を任せてもしっかりと成長していくように思います。
そういう姿勢は料理長や経営者にも伝わるものです。


玉子ぞうすい@僕の若い頃作った賄いです(笑)

土井善晴のレシピ100 料理がわかれば楽しくなる、おいしくなる

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