「お造り」について考える その1【プロの魚の扱い方編】
「お造り」について考える
献立の流れの中においての「お造り」について考えていきたいと思います。「造里(つくり)」と表記したり、「刺身(さしみ)」と呼んだりもします。
参考記事:【料理の語源】「造り」と「刺身」の違い
単に魚介類を切り身にしただけでは、家庭で食べるおかずや賄い(まかない)にはなりますが、お金を取れる"料理"とは言えません。お造りという言葉の通り、キチンと仕事を加えて作り込むものです。
「「煮物椀」について考える その1」という記事でも触れましたが、お椀と同様に造りを見れば、お店や料理人の技量がわかると言われています。
魚を切ることの技術的なことは「【調理の技法 第1回】「切る」 その2」という記事で書いています。
具体的な魚を切る方法や盛り付けについては後日写真などを交えて記事にしたいと思ってます。今回は造りという料理を作るに当たって抑えておかなければいけない点などを考えていきたいと思います。
お造りを構成する要素
お造りを構成する要素を分解して考えてみます。
- 魚介類
- あしらい(ツマ)
- 別付けの醤油など
最低限、この3点が必要でないかと思います。
順番に考えていきましょう。
魚の扱い方について
造りの魚は鮮度が命
お造りを考えるときに一番重要なのが、魚であることは異論が無いでしょう。
造りに使う魚は鮮度が命です。
鮮度の良い魚を見極めること。仕入れの段階で仕事がほとんど決まってしまいます。
ただ例外的に、フグのようなものは、鮮度の良すぎると薄く切ったときに身が縮んでしまうものもあります。そのため、卸してから、あえて1日寝かせたものを使うという人もいます。
触るときは丁寧に
魚を扱うときは丁寧に扱わなければ、身が締まったり、割れたり、細胞の組織を破壊してしまいます。基本的には両手で扱うべきです。今では少ないかもしれませんが、見習いの人には魚を触らせないという店もあるのでは無いでしょうか。
出来るだけ直前で切る!
魚は切ったその瞬間から、旨味を含んだ水分がドリップとして流出してしまいます。また、色が変わってしまうものもあります。出来るだけギリギリのタイミングで切るのが一番美味しく食べれるのは言うまでもありません。
衛生観念はしっかりと。まな板は要注意。
お造りの魚は、基本的に加熱せずに生で食べます。そのため、腐ったり菌の繁殖といった事に注意しなければなりません。料理人なら当たり前の事ですが、お造りの担当の人は特に臭いや衛生観念に敏感でなければなりません。
魚介類を水洗いしたり卸したりするまな板と、造りを切るときのまな板は違うものを用意するべきです。まな板に付着した魚の血や内臓の臭いは、なかなか簡単には落ちません。血の臭いが魚の切り身に着いてしまったら、せっかくの造りが台無しになってしまいます。お客様の立場で考えれば、刺身用のまな板は別で用意して、常に清潔にしておくことは当然のことでしょう。
その2では「あしらい・醤油編」を書きたいと思います。
祇園 又吉
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