美食学研究報告

日本料理の次世代への継承と、更なる発展。日本料理を未来に繋ぐ。

「美食学研究所」設立します

スポンサーリンク

日本料理の料理人を目指す若者は減っているそうです。とある調理師専門学校では、日本料理コースとそれ以外(西洋料理、中華料理、製菓、カフェ、製パンetc)の生徒数が「1:9」で、さらに年々日本料理科の生徒の割合は減ってきている、ともいう話も聞きました。


私の暮らす京都は日本料理の聖地とも言われます。その京都でミシュランの星を取るような有名で一流の料理店でさえ、調理場で働く人材の人手不足が常態化しています。
ご来店されるお客様は、1人何万円もするような決して安くはない金額を支払って食事をしながら、喜び、驚き、感動し、何年も忘れられないような体験をされ、満足して帰っていかれます。しかし、一方でその裏で働く人は、日々の生活の中で体力と精神力を疲弊し、大きな夢と希望を持って日本料理の世界に足を踏み入れた若者が、わずか数年、数ヶ月で、絶望や妥協や諦めの感情を抱き、去っていったり、当初に自らの思い描いたキャリアを下方修整していく現実があります。
もう何年間も飲食業は学生の就職したくない業界の筆頭に挙げられています。


私は日本料理の素晴らしさを確信しています。四季の移ろいを大切にし、走り、旬、名残、という食材に対する考え方。床の間に飾る掛け軸や花や調度品にもこだわり、消耗品とも言える器にも芸術品のような高価なものを使う。素材の味を重視した繊細な味付け。美しい盛り付け。どれを取っても世界に誇れるものだと思っています。


このままでは、この素晴らしい日本料理がどんどん廃れ、いずれ滅んでいくのではないかと危惧しています。この状態を乗り越え、日本料理の未来を明るくする為に私は「美食学研究所」を立ち上げます。「美食学」とは、料理の味について。さらに料理と文化を考察する取り組みのことですです。


「日本料理の次世代への継承と、更なる発展。日本料理を未来に繋ぐ。」を理念とし、日本料理の普及を始め、今日まで蓄積された知の体系化や言語化、また現場の料理人の声を届け、料理人の社会的地位の向上や、店舗経営の生産性の向上と効率化を目的とした活動をしていきたいと思います。


日本料理とその周辺文化に関する知識・技術・研究の発表。献立やレシピの考案。日本料理店の経営について。私の約10年の現場での経験談や実務をする上で疑問に感じたこと。私が実際に食事に行った店舗の紹介。読んだ本の書評。勉強会の開催とその活動発表。そういったものを発信する事を通じて、日本料理に対する理解と発見が深まることを願います。



美食学研究所
代表 後村勇