美食学研究報告

日本料理の次世代への継承と、更なる発展。日本料理を未来に繋ぐ。

「お造り」について考える その3

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お造りについての3回目の記事です。
1回目、2回目も合わせてご覧ください。


お造りと醤油

醤油は日本独特の調味料でありながら、日本料理に必要不可欠な調味料です。特にお造り・刺身はその最たるものでないでしょうか。
お造りという料理が発展・普及した理由は醤油の普及だと言われています。
煮炊きものに使う醤油は普通の醤油だけど、お造り用の醤油は特別にオリジナルのものを調合しているというお店も多いのではないでしょうか。
基本的には、お造りの味付けは別添えの醤油だけです。どんなに素材が良いものを仕入れたとしても、醤油が合わなければ台無しです。ここに多くの料理人が力を入れるのも頷けます。

醤油は発明された当初は高価で、誰もが食べることが出来るというものではなかったそうです。
そこで、原初の造りでは酢味噌や芥子酢味噌だったり、アルコールを飛ばした煮酒に酢を混ぜたりしたもので食べていたようです。

また、日本は西欧の国とは違い、あまり香辛料の種類に恵まれませんでした。それ故に、生の魚に醤油をつけて食べるというところから出発して、色々な醤油の変化系を生み出しました。
柑橘を混ぜたポン酢、鰹節の風味を足した土佐醤油などは現在では色々な料理に使われますが、元々は造りを食べるために生み出されたものです。

参考文献:刺身の料理と盛りつけ (新しい日本料理)