美食学研究報告

日本料理の次世代への継承と、更なる発展。日本料理を未来に繋ぐ。

【書評】堀江貴文「なんでお店が儲からないのかを僕が解決する」は料理人なら全員読むべき

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なんでお店が儲からないのかを僕が解決する

なんでお店が儲からないのかを僕が解決する

飲食店の経営に関する本は山ほどあれど…

書店に行けば飲食店の経営に関する本は沢山あります。
だいたいが以下の3点ぐらいのことを書いているのではないかと思います。

  1. お金に関すること(開業資金はいくらかかる、資金調達の方法、原価率は売上の〇〇%、家賃は〇%、人件費は〇〇%……)
  2. マーケティング・ブランディングのこと(お店の立地、競合店との差別化、メニューと価格、ターゲットとなる顧客層……)
  3. 従業員のこと(アルバイトでも最高のスタッフに育つ方法……)

私も実家が料理屋で、経営者のような仕事もしてました。そういう本も読んだ事もあります。でも、どれを読んでもなんかピンと来ない。
「そんなことより日本料理屋の経営って、もっと根本的なところで変じゃない?」という違和感がありました。

例えば、私の父である社長は職人を経て独立開業したのですが、パソコン全く使えない、当然インターネットも全く触ったこともない、SNSやブログなんて「なんやそれ?」という次元です。
経理のオバちゃんは会計ソフトを使えない。エクセルで計算と仕訳してるのかと聞けば、「私、エクセル使えないんで、電卓で計算してワードに表を作って記録してます」と答えられて絶句したことがあります。
まあ、うちの実家の話は極端な例かもしれませんが、よくこんなんで成り立ってるなと言うのが正直なところです。

ホリエモンの本、読んでみた。


そこでホリエモンこと堀江貴文さんの『なんでお店が儲からないのか僕が解決する』を読んでみたのですが、これが本当にいい本でした。
僕がなんとなく思っていた「根本的に変じゃない」と言う違和感を言語化してズバズバ指摘してくれていて、「そうだ!そうだ!」と膝を打ちすぎて膝が痛いです

この本には経営に関する具体的な数字の話もマーケティングも人の育て方も、ほとんど書かれていません。
「一年に365日は外食する」という堀江さんが経営者としての目からみて、飲食店は「もったいない」と思うことが多々あると感じ、その事について書かれています。

少し本文から引用させていただきます。

おいしいものを作れるセンスと腕があるのに 、ビジネスとして成り立っていないケ ースがあまりに多いのだ 。
(中略)
レストランにはまだまだ儲けを生む伸びしろがあるし 、労働環境だって改善できるはずだ 。

「コンピュ ータ ーはまるでわからない 」と平気で言う店主の多いこと !それが冗談にならない時代であることにすら気づいていないのだ 。

このように厳しくバッサリと切り捨てたかと思えば、

一方で 、まだ伸びしろが十分にある 。勝機を得たいと思っているなら 、既存のこだわりや妙なプライドは捨てて 、もっと自由であるべきだ 。

と、応援のメッセージを送ってくれています。

一応、飲食業の経営者向けの本という体裁を取っていますが、飲食業以外の業種にも言えるのではと言える事も多々あり、さすがは大学在学中に起業して、数年で上場させた経営者の方の視点だなと思いました。現在、飲食業は大きな岐路に立たされていると思っている私からすれば、そのヒントになる事が多く書かれています。
第2章で書かれている三大問題、「食べログ」「ドタキャン」「人材確保」なんか、まさに現在の悩みの種というお店もあるのでは無いでしょうか。

まとめ

この本には、既存のお店で働く人、職人から独立した人、また目指している人からすると、耳の痛いことも書かれています。しかし、本書の根底にあるのは飲食業に対する深い愛情です。
外食して美味しいものを食べるのが本当に好きで、レストラン・外食産業にもっと頑張ってもらいたいという筆者の想いが読み取れます。
既存の多くの店は"昔からの伝統だから"とか"他の店もそうだから"と何かと理由を付けては変化することを拒んでいるケースが見受けられるのでは無いでしょうか。
出来ない理由を考えるよりも、どうやれば出来るのかを考えるほうが経営していく上では建設的です。
わかっているけど、どうやったらいいかわからないという人は是非こちらの本を読んでみることをオススメいたします。

電子書籍版はこちらからどうぞ。

なんでお店が儲からないのかを僕が解決する

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堀江貴文さんの本はこちらも面白かったです。

すべての教育は「洗脳」である 21世紀の脱・学校論 (光文社新書)

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