美食学研究報告

日本料理の次世代への継承と、更なる発展。日本料理を未来に繋ぐ。

事業に関わる「お金」のリアル【第2話】「平時の兵法 有事の兵法」

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どうも、美食学研究員 あとむら(@gastronomy_work)です。

料理人の皆様の中には、独立を志している方も多いでしょう。
もしくは、既に自分のお店をオープンさせた人もいるかもしれませんね。

事業を行う上で切っても切れないのが「お金」の話。

お金についてのブログ連載の記事になります。
題して「事業に関わる「お金」のリアル」

今回は第2話です。

前回まではこちらになります。
事業に関わる「お金」のリアル【プロローグ】
事業に関わる「お金」のリアル【第1話】「金融リテラシーを身に付けろ!」


それでは、今日もよろしくお願いします。

全ての事業家は儲けるために事業を行う

基本的なことですが、一つ確認しておきましょう。

事業家に限らず、勤め人でもそうですが、
みんな仕事をするときは「儲けよう!」という欲に基づき仕事をしています。

口に出すか出さないか、
お金以上のミッションやビジョンが有るのか無いのか(?)
また子育てや親の介護のために収入を減らす選択をするというケース、
それぞれの立場で違いはありますが、わざわざ「積極的に損してやるぜ!」と思って仕事をする人はいませんよね?
みんな少なからず「儲けよう!」と思って仕事をするわけです。

で、その「儲ける」ためには何をすれば良いでしょうか?

「儲ける」というのは、個人で言えば「資産を形成すること」と言い換えれます。

橘玲先生の著作に、資産形成の方法について非常にわかりやすく説明されている箇所があるので引用します。

「だれでも億万長者になれる魔法の法則」

資産形成というのは、①収入、②支出、③資産の運用利回り、のたった3つの変数によって決まる関数ですから、いかなる天才といえども、これ以外の処方箋を提示することはできないのです。
ようするに、


資産形成=(収入−支出)+(資産×運用利回り)


というわけです。小学生にだってわかりそうな、超カンタンな方程式(足し算と引き算と掛け算!)です。
しかし考えてみればこれは驚くことで、人類が貨幣を発明して以来、人々を虜にしてきた「お金持ちになりたい」という夢が、このたった一行の方程式で表されてしまうのです。
しかも、これ以外にお金持ちになる方法は世の中に存在しません。


「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計 (講談社+α文庫)より引用。

事業で言えば、収入というのは「売上」です。
支出というのは「経費」です。
売上と経費の差が「儲け」です。

(運用に関しては、まず資産(つまり最初の儲け)が必要なので、この連載では一旦横に置いておきます)

つまり「儲けよう!」と思ったときに出来る事は、

①売上を伸ばす
a.客数を増やす
b.客単価を上げる
②経費を減らす
c.商品の原価を抑える
d.販管費を抑える

大きく言えば、①と②の2つ。
細かく言えば、a.b.c.dの4つしかありません。
資本主義社会で一般的な民間企業で「仕事をする」という行動は、このa.b.c.dの4つの行動を模索することと同義です。

当たり前の事ですが、前提条件として確認のために書かせていただきました。

平時と有事

前回の記事の終わりに、次回は「平時と有事」について書くと予告しました。
前置きが少し長くなりましたが、本題になります。

「平時」と「有事」の言葉の定義

ざっくりと言葉の定義をしておきます。


・会社経営において、「平時」というのは「資金繰りが上手くいっていて、利害関係者の全員がハッピーな状態」のことを指します。
・「有事」というのはそれ以外の状態。


「資金繰りが止まった状態」というのが、いわゆる「倒産」という状態になります。

が、自分の役員報酬を減らしたり、お客様へ提供するサービスの質を下げたり、取引先に買掛金の支払いを待ってもらったり、従業員のボーナスカットだったり、銀行への毎月の返済額を減らしてもらったり、(これを「リスケジュール」、略して「リスケ」と言います。)

「何とかしてギリギリ延命しているような状態」
「利害関係者の誰かが我慢している状態」
を会社経営における「有事」であると定義します。

「平時」の話はしません

この連載では、「平時」におけるお金の話はしません。

基本に忠実に「仕事」をするだけです。

つまり、前述の①売上を上げる(a.客数を増やす b.客単価を上げる)と②経費を減らす(c.商品の原価を抑える d.販管費を抑える)
これを自分の才覚、スキル、時間、努力、勇気、経験etc...を使って実行するだけです。

具体的な方法は、業種や個々の会社の事情によっても変化するでしょうし、そもそも「確実に儲かる方法」なんてものは誰もわからないのですから。

「有事」の際の「お金」のリアル

この連載で取り上げるのは「有事」の際の「お金」のリアルです。

「平時」と「有事」では、全く戦略の方針を変えなければなりません。

「どうやったら客数が増えるかな?」とか「イケてる新商品の開発」とかを知恵を絞って考えることは、「平時」ならばとても重要なことですが、「有事」の際には下策です。

前回の記事の最後に、「治世の能臣」は「乱世の凡人」であるケースが多いと書きました。

平時と有事では、根本的な戦略がまったく違います。
ギアを上手く切り替えれずに、有事に陥っても平時の戦略で走り続けると大事故になります。

「有事」の際の最適解

会社の経営において、「平時」の際の最適解というのは誰にもわかりません。
運や偶然という自分でコントロール出来ない領域に左右される部分も多いでしょう。

しかし「有事」の際の最適解というのは存在します。

「有事」の際に真っ先に考えること。
それは「金融機関への返済をストップさせること」です。

「自己破産」とか「民事再生法」とか、そういう言葉を聞いたことのある人も多いでしょう。

そんなことをする必要は全くありません。
破産したり、民事再生法の手続きをするには金が掛かります。
金が無いから「有事」なのに、そんなことに金を使ってどうするん?

あんなものは食えない弁護士を食べさせる為の制度です。
難しい試験を合格した人に対して、国が用意した一種のボーナスなんです。
そんな罠に嵌る必要はありません。

さっさと返済をストップさせましょう。

前回の繰り返しになりますが、借入金の返済というのは、事業を運営する上で全く何も生み出さない支出になります。

事業を行う上で、
従業員がいないと仕事になりませんよね?
取引先がいないと仕事になりませんよね?
顧客がいないと仕事になりませんよね?

彼らに回すお金を削って返済に回すなんて言語道断です!!

まずは一番必要の無い支出である金融機関の返済を削るところから考えるべきです。

よく聞く例えですが、穴の空いたバケツに水をいくら入れても、事態は改善しません。

きっと、あなたはこう思うでしょう?
「え?そんなこと出来るの?」

次回へ続く

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天国に至る道は、地獄に至る道を熟知することである。

ニコロ・マキャヴェリ